新学習指導要領は、平成21年度より順次実施されます。
ほぼ10年に1度改訂される新学習指導要領が、平成20年3月に発表されました。この改訂により、学校教育は、今大きく変わりつつあります。この新学習指導要領が全面実施されるのは平成23年度からですが、実施可能なものは、平成21年度から順次導入されていきますので、現在はちょうど新学習指導要領へ移行する最中ということになります。学校教育は、これまでもさまざまな形で変化を繰り返し、保護者の皆様が小学生だった頃と比べても、ずいぶん違ってきています。では、昔の教育と今の教育はどこが違い、これから学校はどう変わっていくのでしょうか?
授業時数
保護者の皆様が小学校に通った頃、1979年度の授業時数(6年間の総授業時数・小学校の1時数は45分)は、5,785時数でした。ところが、2002年度の総授業時数は5,367時数。実に418時数も減ったのです。これは、「ゆとり教育」の方針による、完全学校週5日制が大きく影響しています。

2002年度実施の指導要領で授業時数が大幅に削減されたため、学力の低下が懸念されました。新学習指導要領では、授業時数が約40年ぶりに増加します。先行実施が始まった2009年度からは、5,576時数と209時数、さらに全面実施される2011年度からは、5,645時数と2008年度と比べ、278時数の増加となります。完全学校週5日制は変わりませんので、1日の授業時間を増やすことになります。小学校1年生の5時間授業も増え、1日の授業時数は、保護者の皆様のときよりも多くなります。
学習内容
保護者の皆様の頃との違いは、1・2年生では理科・社会のかわりに「生活科」という科目になり、自然や社会に実際にかかわることが重視されるようになりました。また、3年生以上には「総合的な学習の時間」という授業が新設されました。この授業は、環境やキャリア教育、国際理解など、教科を横断して知識を活用する力、自ら考え解決できる力を付けるためのものです。一方、週5日制による授業時数の削減や総合的な学習の時間の新設によって、主要教科の単元が削減されたり、上の学年へ繰り上げられたりで、学習する内容は、全体で約3割減となりました。
前回の改訂で削減した学習内容が、算数・理科を中心に数多く復活します。さらに、その知識を活用する力を付ける授業が多くなります。また、「生きる力」を付けるためには、適切な言語能力を身に付ける必要があり、各教科で「自分の考えを述べる」「みんなと議論をする」といった言語活動が多く取り入れられます。5、6年生では、外国語活動(英語)が新設され、国際社会で必要とされる能力を身に付ける授業も導入されます。その他、伝統文化や体育、道徳、体験活動など、今の子どもたちに不足していると考えられる授業が強化されます。
評価と身に付けたい力
保護者の皆様の頃は、クラスの中で順位をつける5段階の相対評価でした。その結果他人と比べる偏差値教育が問題視されました。今では、3段階や2段階で、個人の到達度を評価する絶対評価となり、「生きる力」を育成するために、個性を大切にし、詰め込み教育から自ら考える教育へと変化しています。
文部科学省は、変化の激しいこれからの社会を生きるためには、「確かな学力」「豊かな人間性」「健康・体力」の知・徳・体をバランスよく育てることが大切だと発表しました。そのためには、基礎的な知識・技能をしっかり身に付けさせ、その上で体験活動や言語活動といった能動的な取り組みが必要になります。また学力以外にも豊かな人間性や健康で丈夫な身体作りにも力が入れられます。家庭でも、これらのことをふまえながら、お子さまの力を伸ばしていきたいものですね。
新学習指導要領における、文部科学省の教育方針
前回、平成14年度(2002年度)実施の改訂では、「ゆとり教育」の方針に基づき、完全学校週5日制(週休2日)が導入され、大幅に授業時間・学習内容が削減・変更されました。そのため、授業時間や学習内容が減ることによって、「学力が低下する」という懸念もありました。実際に、内外の学力調査などでもその傾向が明らかになり、今回の改訂では学力低下を不安視する意見も反映し、「生きる力を育む」という理念はそのまま維持しつつ、授業時間を増加し、削減された内容も復活させ、学力の向上を目指す内容になりました。
今の子どもは、ココが弱い
全国学力調査(2008年)では、知識問題の正答率に比べ、活用問題の正答率がかなり低いことがわかりました。国際学力調査(PISA 2006年)では、理数科の順位を下げ、読解力不足が指摘されました。
国際学力調査(PISA 2006年)の調査によると、OECD加盟の諸外国に比べて科学に対する興味が13ポイントも低いことが分かります。
平成10年と平成17年を比較すると、たった7年の間で、生活の中で自然に触れる体験をしたことのないお子さまが激増しています。
入学前にやっておきたいこと
小学校に入学すると、たくさんの人たちとの集団生活が始まります。はじめて体験することも多いので、ご家庭で少しずつ慣らしてあげると安心です。たとえば「元気よくあいさつをする」「正しい姿勢で座る」ことなどは、日頃から心がけるとよいでしょう。また、ご家庭でも規則正しい生活をすることが大切です。朝食をきちんととること、早寝早起きをすることなどは、学力との関連性もデータで示されていますので、入学前から習慣化しておきましょう。また、ご家族でのお出かけの時などには、交通ルールやよいこと・悪いことなどをわかりやすく教えてあげると、学校での集団生活にもすぐ順応することができます。
小学校に入学すると、すぐに勉強が始まります。ところが、この年齢のお子さまは、それほど集中力が続きません。そこで、ご家庭で机に向かう習慣を早いうちに身に付けることをおすすめします。ただし、一人で勉強することはまだ難しいので、おうちの方がいっしょに見てあげるとよいでしょう。いっしょに問題に取り組んで、たくさんほめて大きな丸をあげてください。お子さまは、ほめられるとどんどんやる気を起こし、ぐんぐん伸びていきます。ただし、たとえできなくても怒らず、あせらず、お子さまのペースに合わせてあげてください。
新学習指導要領の基本方針である「生きる力」を付けるために、これからの授業では、理科の実験や観察、社会科見学など実際に自然や社会を体験・経験することが多く取り入れられます。実際に体験・経験することで、社会性や豊かな人間性を育みます。土・日曜には、お子さまが興味を持った自然や場所に連れて行ってあげてください。また、生物を育ててみたり、簡単な実験をいっしょにしてみるのもよいですね。好奇心が旺盛で、探究心が豊かなこの年齢のうちに体験して感じることは、きっと心に残るはずです。ご家族みんなで楽しい会話をしながら、お子さまの可能性をどんどん伸ばしてあげましょう。
これからの小学校の授業では、自分で考えて、報告する、説明する、議論するといった言語活動能力を付ける授業が多くなります。この力を付けるには、いろいろな人とコミュニケーションをとらなければなりません。個人差があり、なかなかすぐにはできないお子さまもいますが、まずはおうちの方がいろいろな話をしてあげましょう。その時大人が、一方的に話すのではなく、お子さまの気持ちや意見をよく聞いてあげると喜んで話をします。本の読み聞かせをしながら感想を聞いてみたり、小学校に入ったらやりたいことなどを話し合うのも良いのではないでしょうか。

